人気ブログランキング | 話題のタグを見る

東日本大震災復興支援写真展について(5)

二子玉川ライズで行われた、小栗慎介テノールコンサート会場で、「東日本大震災復興支援写真展」として、被災地の写真を展示させて頂きました。


コンサート会場での展示だったので、リハの始まる直前の昼頃からの展示だったのですが、パネルが置かれると同時に足を止めてくださる方もいらっしゃいました。

Oguri Shinsuke@Futakotamagawa rise galleria

Oguri Shinsuke@Futakotamagawa rise galleria

今まで、ギャラリーなどでの写真展示の経験しかなく、こういった「不特定多数」の方にご覧頂くというのは全く初めて。

そして、被災地の様子を知らせる、というはっきりした目的のある展示のため、写真撮影当初から、セレクト、説明文の作成まで、本当にプレッシャーを感じていました。

会場は、ライズのターゲットとする若いファミリー層だけなく、その親御さんの世代の方々、近隣でお仕事中と思われる、スーツやいろいろな制服の方まで、たくさん来場されていてびっくりしました。

小さなお子さんに、親御さんが写真を見ながら説明をしてあげてくださっているところも度々見かけ、ちょっと嬉しく思いました。

お話をさせて頂く機会がほとんどなく残念だったのですが、イベント運営スタッフのおひとりが、これがお子さんが一番興味を持ってみてましたよ、と教えてくださったのが、下記の写真。稲荷神社のキツネたちです。

P8085712

神社は破壊されたらしく、大木の下にぽつんと座っていましたが、その様子が復興を優しく見守っているように見え、残された家の土台などの足場の不安定なところを伝って、近づいて行って撮影したのです。

しかし、実際、引きで撮ったり、寄って撮ったりしたみると、なかなか思うようには撮れず、今ひとつわかりにくい写真かなとも思っていました。

P8085715

なので、子どもさんが興味を持ったと聞いても、まぁ、壊れたビルとかの怖い写真よりは、石のキツネとはいえ、少しはカワイイからでは、と思っていたのでした。

その話を、見に来てくれたひとにしたところ、いや、それはちがう、と言われたのです。

小さな子どもでも、普段はちゃんと神社に鎮座しているキツネがぽつんと地面に置かれていれば、キツネさん、おウチどうしたの?と思うんじゃないの、と。そして、おウチが流されちゃったんだね、かわいそうだね、と子どもなりに理解するのではないかと。

年配の女性の多くも「お稲荷さん、気の毒に」みたいな感じで目を留めてくださっていたことも教えて貰いました。

それに、こういう情景を撮った写真は、他の雑誌でも新聞でも見たこと無いよ、とも言ってもらえました。

被災地を訪れる前から、スゴい報道写真も、感動的な写真も撮れそうも無いけれど、たった一枚でも自分ならではの写真があれば、と思っていたのですが、少しでも何かを伝えることができたのであれば、撮らせて頂いた甲斐があるというものです。

稲荷神社のキツネは、神様のお遣い、メッセンジャーですから、メッセージを私が頂いて、それを東京の地に運ぶことを託されたのかもしれません。


もうひとつの人気作品がこの一枚です。

どうしても重い作品が並んでしまう中、ちょっとだけ息抜き(?)的な一枚としてセレクトしました。先輩カメラマンに、「一番アナタらしい写真だね」とも言われましたが(笑)。

車で走っているときに「目」が合い、思わず車を止めてもらって、走って戻って撮ったのです。彼もまた、「俺を撮ってよ、皆に見てもらってよ」と言いたかったのかもしれないです。

P7024136
by zebby_kk | 2011-09-06 02:36 | 写真の話